ストレートラブ
「山下くんだ!え?なんでココに!?」
「こっちが聞きたいよ」
なんと、後ろにラフなTシャツにチノパン姿の山下くんがいたのだ。制服とは違う私服姿……やっぱり胸キュン!
「また里津と何か話合わせたわけ?」
「え?何も?」
「里津がバイト終わってから、花火行くって言うから来たのにアイツいねぇし、もう少し待てって言われてから1時間経った。で、アンタが出てきたから、てっきりそういうことかと」
里津くんとそんな話はしてないけど、きっと夏生伝いでそうしてくれたんじゃ……?いやん!里津くんありがとう!
「てことは、山下くん!時間あるんだよね?あるよね!?」
「……だったら何」
「一緒に花火見よう!」
ドンッ
すると、タイミング良く花火の音が聞こえた。ココからは見えないけど、大玉のようだ。
「いや、帰る。人混みは苦手」
「え!?なんで!?せっかくだし、花火見ようよ~!あっ、ほら、お弁当もあるの!」
店長からもらったお弁当を見せて、必死に花火を見ることを促すあたし。
「……あそこ」
「へ?」
「あそこなら、いい」
そう言って山下くんが指さしたのは、夏生の言っていた花火が見やすい場所だった。