ストレートラブ





「お茶にしたから」



そう言った山下くんから手渡されたペットボトル。



「あ、あたしに?」



「他に誰が」



「お金は」



「弁当くれたから、そのお返し」



山下くんが……山下くんが優しい!?いつもみたいに冷たくないよ?何なに、この展開!もしかしていい方向へ進んじゃう!?



「山下くん、これってカレカノになる前提の会話?」



「なわけないでしょ」



「ですよね~。んも~期待しちゃったじゃん!でも、お茶ありがとう!あたしコレ、一生家宝にするね!」



「……そこまでするか?」



「するよ!だって、好きな人からもらったものだよ?そんなに簡単に飲めない!いや、これからも飲めないよ!絶対無理!」



「やっぱ、アンタ変だ」



そう言って、自分用の飲み物を口にした山下くん。変にしてるのは、山下くんなんだからね?



花火がまた1つ、2つと夜空に咲き出す。周りから歓声が聞こえる。あ、カップルも多くなってきた。



「山下くん、カップル多いね!」



「へーそう」



「この際だから……」



「付き合わないよ」



まだ何も言ってないのに~!



「分かりやすいから」



山下くんの頬が、少しだけ上がっていたのは気のせいじゃないよね。




< 190 / 332 >

この作品をシェア

pagetop