ストレートラブ
「お茶にしたから」
そう言った山下くんから手渡されたペットボトル。
「あ、あたしに?」
「他に誰が」
「お金は」
「弁当くれたから、そのお返し」
山下くんが……山下くんが優しい!?いつもみたいに冷たくないよ?何なに、この展開!もしかしていい方向へ進んじゃう!?
「山下くん、これってカレカノになる前提の会話?」
「なわけないでしょ」
「ですよね~。んも~期待しちゃったじゃん!でも、お茶ありがとう!あたしコレ、一生家宝にするね!」
「……そこまでするか?」
「するよ!だって、好きな人からもらったものだよ?そんなに簡単に飲めない!いや、これからも飲めないよ!絶対無理!」
「やっぱ、アンタ変だ」
そう言って、自分用の飲み物を口にした山下くん。変にしてるのは、山下くんなんだからね?
花火がまた1つ、2つと夜空に咲き出す。周りから歓声が聞こえる。あ、カップルも多くなってきた。
「山下くん、カップル多いね!」
「へーそう」
「この際だから……」
「付き合わないよ」
まだ何も言ってないのに~!
「分かりやすいから」
山下くんの頬が、少しだけ上がっていたのは気のせいじゃないよね。