ストレートラブ





「いらっしゃいませ」



さっきと同じ言葉だが、少しだけトーンを高くした山下くん。他のお客さんには違う接し方じゃん。



「コレとコレ、1つずつお願いします」



「にっこりメロンパンとウインナーパンですね。店内でお召し上がりになりますか?」



「いえ。持ち帰りで」



「では、少々お待ちください」



そう言って、パンを取り出して袋に入れる山下くん。里津くんは、新たに来たお客さんに注文を聞いている最中だ。



「ほら、カッコイイでしょ」



「うん。高校生よね」



「年上ってアリかな?」



ヒソヒソ話す注文をした2人組の女性。この会話は山下くんのことだね。ほ~らやっぱりモテるじゃん!なんせ、あたしが惚れた男だもん!



「お待たせしました」



その会話が聞こえていないのか、山下くんは平然としてパンを渡す。



「あっ……」



その時にパンを受け取った女の手が、山下くんの手に当たった。な、なにー!?



「あっ、すみません!」



「いえ。また起こしくださいませ」



顔を赤くしながら帰る女達に、またもや平然とした態度で言葉を並べた山下くん。





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