ストレートラブ





これでもかってくらい腕を伸ばして、山下くんとのハイタッチをねだった。



「…………はい」



パンっ



少しだけだったけど、サングラス姿の山下くんがタッチしてくれた。



「キ、キャ~~~!!!」



もちろん、そんなことをされて、あたしが平常心を保っていられるわけが無い。



マイクの音よりも大きな悲鳴をあげ、クラクラとその場に倒れ込んだ。



「ちょっ、沙良!?」



すると、慌てた様子の夏生があたしの体を支えてくれた。



「夏生~あたし鼻血出てない?」



「出て……あ、出てきた。ちょっと待ってて」



いそいそとカバンからティッシュを取り出した夏生。そして、あたしの鼻へ詰めた。うぐ、少し痛いよう。



「軽くタッチしただけでぶっ倒れて、おまけに鼻血まで出すとか。自分からしたくせに、アンタ重症だね」



「自分でもそう思う~。でもね、それくらい幸せで……あぁ、ティッシュ変えるっ」



「コーフンし過ぎよ」



「だって、普段のブレザー姿じゃなくて、学ランでサングラスで髪立ててて、そんな山下くんが目の前に来て、タッチしてくれたんだよ?壊れるに決まってるよ~」



「ある意味、朝より体調悪化したね」



そしてそのまま最後の縦リレーまで、夏生の隣であたしは横になっていた。縦リレーでも山下くんのカッコ良さが炸裂してて、横になりながりも悲鳴をあげた。





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