ストレートラブ
触れる王子サマ
「久しぶり」
「あぁ」
「里津もいるじゃん」
「久しぶりっす」
その葉月って人のことを山下くんだけでなく、里津くんも知っているみたいだ。
「2人とも元気そうだね」
「何しに来たんすか?」
山下くんが敬語を使ってるってことは、やっぱり先輩か。
「ココの体育祭があるって聞いたから、友達と来てみて……」
「もう終わったから、帰ってください」
「紘樹、あの……」
「失礼します」
そう言って、あたし達の前から立ち去った山下くん。その背中は、何かに怒っているように見えた。
「あっ、すみません」
そう言って、葉月って人もそそくさと友達とやらの輪へ戻ってしまった。
「今の、なんだったの?」
夏生があたしの隣に来てそう言った。
「あたしにもよく分かんないよ。おかげで、写真撮りそびれちゃったし」
デジカメを見つめて落ち込んだ。
一緒に写真を撮れなかったことと、山下くんが葉月って人と何かあったってことに。