ストレートラブ
そして、ホラー映画が終わった後のあたし達は、ヘトヘトになっていた。
「何か飲もう」
「ありがとう」
夏生が席を立って、台所へ向かう。その間、あたしは気持ちを落ち着けていた。すると、右肩にスッと何かが触れた。
「ギャオ!」
なに!?今の何!!!変な叫び声をあげたことよりも、触れたものの正体が知りたかった。
「そんなにビビんないでください。俺っすよ」
なんと、里津くんだった。
「もう!びっくりしたじゃん!」
「いや、予想以上のリアクションで、こっちも驚きましたよ」
ケラケラ笑った里津くんが夏生がいた場所へ座った。
「ねぇ、里津くん!」
「紘樹なら来ないっすよ。今日は遊ぶ気分じゃないそうで」
「そっか」
里津くんに聞いてもいいかな。あの葉月って人は誰なのか。いやいや!やっぱり山下くんに直接……いや、でも……
「里津、あの葉月っての誰?」
あたしが迷っていると、麦茶が入ったコップを3人分持ってきた夏生が里津くんに尋ねた。
「沙良がここに来た時点で、聞かれるのは分かってたでしょ。ほら、吐きな」
夏生が頼もしく見えた。