ストレートラブ
「山下くん、約束通り教えてもらうよ!」
「……あーそうだった」
これでや~っと葉月のことを聞けるんだ!
「なに?何教えんの?俺も聞きたい!」
里津くんが興味津々に、あたしと山下くんの顔を交互に見る。
「別に大した話じゃない」
「えー聞きたい!な、姉ちゃん!」
「あたしはどちらでも構わないけど」
ち、ちょっと里津くんに夏生~!あたしだけが聞く約束なんだよ!?この時のために、テスト頑張ったのに~!
「よし!紘樹、みんなで聞きま……」
「ごめん。約束だから」
そう言った山下くんは自分の鞄を手にして、あたしの腕を引いた。
「外行く」
「う、うん!」
つかまれた腕とは反対の手で、夏生と里津くんに大きく手を振って、夏生ん家を後にした。って、あたし山下くんに腕つかまれてる!
「よかったら、次は手を繋ぐ?」
「嫌だ」
「ふんだっ。いつの日か手を繋ぎたいって思わせてやるんだからね~!」
カァカァ、とカラスが笑ったのは無視しよう。
「で、何を話せばいいの?」
「最初っから!2人の出会いから!」
「……は?」
そして、山下くんは一息ついて話し出した。