ストレートラブ





山下くんが葉月に……キスされた?



「で、思いっきり突き放してその場から逃げた」



「それからは?」



「一言も話してない。あの人、来なくなったし」



山下くんの横顔が切なく見える。



「彼氏いんのに、んなことすんなっての」



先輩の彼女とキスをしてしまった。たとえ、山下くんからしたことじゃないとしても、罪悪感があったに違いない。



「それから女が苦手になった。何されるか分かんねーし」



葉月のせい、とは言わない山下くん。でも、葉月とのことが原因で、苦手になったんでしょ?



それに、言いたくないけど……山下くんは葉月のことが……?



「話はこれだけ。っておい、アンタ……」



「え?」



「なに、ブサイクな面してんの」



ブサイクな面もしたくなるよ。だって、山下くんがすっごくすっごく可哀想で、何も出来ない自分が悔しいもん。



「山下くんは、葉月のこと好きだったの?」



「は?」



「だって、すごく辛そうだもん」



「……冗談だろ。先輩の彼女とキスしたことに罪悪感があるだけ」



「嘘だ!あたしの目は嘘は見ないもん!」





< 252 / 332 >

この作品をシェア

pagetop