ストレートラブ
「えぇ!?いない!?」
教室はガラんとして、誰もいなかった。まさかの全員でボイコットとかじゃないでしょうね!?いや、待てよ。着替えた形跡が見られるってことは、体育だったりして?
「失礼しま~す」
忍び足で教室にお邪魔した。そして、窓際へ向かうあたし。
「あう~かっこいい~」
やはり、体育だったみたい。クラスメートに混じって、校庭を走る山下くんの姿を見つけた。あの真剣な眼差しであたしを見つめてほしい~。
「山下くん……」
葉月とチューしたんだよね。
ハグもしたんだよね。
葉月に心持ってかれてないよね。
過去のことって分かってるけど、あたしだって人間。山下くんの心が気になって仕方がない。
いつもしてる恋のアタックは、あなたの心に届いてますか?少しでも、あたしのことを考えてくれていますか?
山下くんへの愛に自信が溢れているようで、実は臆病になっている面もあるんだ。
「山下くん、好きだよ~」
小声でそう言ったのは、授業中だから。そして、あたしの気持ちが弱っているから。