ストレートラブ
よし、夏生はライバルになることがないとわかってホッとした。……だけど、他はまだわからない。
「夏生、あたし負けないで頑張るからね!山下くんのハートを掴めるようにっ!」
立ち上がって夏生に決意表明をした瞬間、
「……先生来てる」
夏生があたしを見ずに、黒板を見るように正しく座りだした。
「滝沢、誰のハートを掴むんだって?」
メガネの奥を光らせた先生が、あたしの隣に来ていた。な、夏生のバカァ!!
「あ、あはは。もちろん、先生のハートでぇす…」
「そうか。先生のハートを掴むくらい、授業に集中してくれたら嬉しいんだがなぁ…」
「は、はぁい。もちろん先生のハートを鷲掴みして授業に…」
「バカもん!ちょっとは反省したらどうだ!?」
バシッ
持っていた教科書で叩かれた。い…痛いよ、先生。これも一種の体罰だよぉ!