ストレートラブ





「あたしだってせいせいする!山下くんのバ~カ!」



山下くんの背中に向かって吐いた言葉。年上らしくない、ガキみたいな抵抗で情けない。それでも、言わずにはいられなかった。



「あの……交代……」



「どうぞ!あたしはもう終わりましたので!」



おかげで、午後の担当の人に八つ当たり。1年生らしく、少し怯えさせちゃったかも。



そして、受付を後にして辺りを見渡してみたけど、もう山下くんの姿は見つからなかった。



なんであんなこと言っちゃったんだろう。今更ながら、自分に後悔の波が押し寄せてくる。



もう少し冷静になれたらよかったのかな?それ以前に、思ってることを言い過ぎちゃった……かも。



でも、山下くんも山下くんだよ。あたしの思いを丁寧に受け取ってくれていたら、こんなに言い合うこともなかったのに。



「山下くんの……バカ」



視界が滲んできた。



「山下くんなんか……大嫌い」



思ってもいないことを口走って、涙がこぼれた。





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