ストレートラブ





いっつもクールで無表情で、あたしに興味を示さなくて、でもたまに見せる笑顔であたしの心を離さなくて。



そんな山下くんに、あたしはバカみたいにアタックしてた。自分が思ったように、ありったけの思いを山下くんに伝えてきた。



それでもなかなか振り向いてくれなくて、でも諦めきれなくて。いつだって、山下くんのことしか考えられなくなっていた。



それくらい、大好きになってた。



「滝沢遅いぞ!」



うっちー先輩はツノを生やしてご立腹の様子。



「すみません。受付してまして!」



「分かったから、ほら、ステージに上がれ!みんなもう準備万端なんだよ!」



現在地、舞台裏。舞台そでからステージを見ると、幕が閉まったままのステージ上に、並んでいるエントリー者の姿があった。



「あとお前だけなんだ!お前が揃えば、告白大会はスタートするんだ」



昨日までのあたしなら、きっと、ドキドキしながらステージに立っていた。



「……うっちー先輩」



でも、今のあたしは……



「エントリー、辞退させてください」



告白する勇気なんて、これっぽっちもなくなっていた。





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