ストレートラブ





「た、滝沢?」



「急にすみません!せっかく、うっちー先輩達から推薦枠をいただいたのに……でも、辞退させてくださいっ。お願いします!」



迷惑だって分かってる。自分勝手だって分かってる。それでも、それでも……



「急にも程がある。でも、出たくないのに出させるわけにもいかねぇ。勝手にしろ」



そう言うとうっちー先輩は、あたしの前から舞台係の元へ足を進めた。



「よし、幕を上げろー」



うっちー先輩の合図で幕が上がる。観客から歓喜がわく。告白大会が始まったのだ。



「何があった?」



腕を組んだうっちー先輩があたしの隣に来た。



「……山下くんと喧嘩しました」



「こんな大事な時にやってくれんな、お前」



「すみません」



「ココにいても邪魔だ。実行委員の席に行け」



「あ、受付が……」



「他に誰かいんだろ?お前昨日もしたし、もう実行委員の席に行け」



はい、と頷いて力なく舞台裏を出た。一旦外に出て、それから体育館の中に入るようになっているので、体育館の裏から外に出た。



「キャー!」



誰かが告白をしたんだろう。盛り上がりは体育館の外まで響きわたっていた。そして、力なく体育館の中へ入った。





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