ストレートラブ





「てことで、雅借りるから」



そう言って、葉月……雅を連れて正門へ向かった阿木くんだった。



「ほら、アンタは何もかも思い込み過ぎ」



やれやれ、と目を伏せる山下くん。あ、繋いでた手離れてる。



「いつ俺が、葉月先輩を好きって言った?言ってねーよな」



「はい」



「でも、正直言うと気になってたのは事実」



「え!?」



「中学ん時の話だ。今は……」



そう言って言葉を続けるのを止めた山下くん。



「その先を言ってよ~!」



「……分かんだろ」



眉間にシワを寄せる山下くん。続きの言葉を聞きたくて、ウズウズしてるのに~。



「あーいたいた」



すると、夏生が近づいてきた。夏生の背後から里津くんも来ていた。



「沙良さん!あの大胆な告白、超よかったっす!」



「ありがとう!もう、いてもたってもいられなくて!」



里津くんが何度もよかった!と呟く姿を見て、微笑ましくなる。



「やっと、って感じだけどね」



そう言って、山下くんをチラ見する夏生。



「……その目なんすか」



「なーんにもないわよ。なーんにも」





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