ストレートラブ





意味深な笑みを浮かべて山下くんを見る夏生。いくら夏生でもちょっと見過ぎなんじゃない~?



「ま、おめでとう」



あたしの頭に手をのせ、ポンポンっとしてくれた夏生。途端に、あたしの涙腺は崩壊し、涙がボロボロ流れた。



「なづっ……山下ぐんとね……やっど……」



「分かってるから、泣くか話すかどっちかにして」



「な、泣ぐ~」



やっと、山下くんに思いが通じた。おかげで胸がホッとしてるんだよ。



ずっとずっと追いかけていた人が、やっど振り向いてくれた。あたしのことを見てくれた。嬉しくて嬉しくて、しょうがない。



「沙良さん、俺が言ったこと聞いて、体育館に飛んで行ったから、てっきり告白大会で告白するんだと思ってたんすよ?」



すると、里津くんがそんなことを言い出した。



「だって、あの言い方だと、山下くんはあたしの顔もみたくないくらいあたしのこと嫌ってるから、受付に来ないんだ的なことだと思って……」



「嘘!?そう捉えてたんすか?」



「え?違うの?」



あたし達4人の中に、微妙な空気が流れた。



「違うも何も……」



里津くんが山下くんをちらっと見て話を続けた。





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