好きの言い方も知らずに。
いつものように彼が来ることを期待しながら常連さんとお話していると、彼はやってきた。
『諒くんっ』
文章からでもわかる、あたしの嬉しい声。
『こんにちは』
諒くんは部屋があたしと二人になるまでけして常連さんとの会話には入らなかった。
『諒くんも一緒にお話しよう?』
そう言っても、冷たくああ。と言うだけで会話には入らない。
やっと話し出すのは常連さんが落ちてしまったあと。
『湊に気があるみたいだったな』
いつも彼はその言葉を言う。