好きの言い方も知らずに。



家に着くなりパソコンのスイッチを入れる。


ウイーンと機械の音が小さく鳴った。


カタカタとチャットのログイン画面へとキーボードで導いて、早速ルームに入り込む。


もちろん掲示板にあたしがここにいることを書き込んでおく。

『湊』


これがあたしの分身。あたしはこの子になれば違う自分になれる。


顔も声も性格もまったく違うあたしに。


リアル(現実)のあたしであることはきっと誰にもわからないの。


相談に乗って正論を言っているようないい女の子を演じられる。


あたしは一体誰?




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