好きの言い方も知らずに。



沈黙という時間が過ぎてゆくのに堪えられなくなったあたしはキーボードを叩いた。


『諒くん…ごめんね』


『湊が悪い訳じゃない。』


そう一言諒くんは呟くように言うと、しばらく黙っていた。


諒くんは怒っているのかな。


あたしは何も言えずにただパソコンの画面を見つめていた。


『湊が、さっきの奴に愛想よく接してるのがムカついただけだ。』


愛想よく接してる…?


確かにあたしはチャットの世界でもリアルでも嫌われないように愛想よく笑って話を合わせ振る舞う。


諒くんにはそれがばれていたということだよね?


『…どうして?』


『湊は俺だけに愛想よくしてればいいんだ。』


諒くんの発言を見た瞬間、あたしの心臓がうるさくなった。



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