好きの言い方も知らずに。
それが、高校生になったあたしは、ふとチャットのことを思い出す。
「あのチャットルームなんて名前だっけ……」
キーボードに指を添えて、すぐに見つけ出す。
記憶は新しく、あたしはきちんと覚えていた。
そして、これからあたしのチャットの日々が続くことになる。
中学一年のころからキーボードを叩いて、タイピングはチャット仲間よりもすっかり早くなっていた。
相手はきっとあたしの方が打つのが早くて話す気にもなれないんだろうな、と薄々気づいていた。
でも、あたしよりも早く打つ人もいて、とても刺激になる。