好きの言い方も知らずに。
いろいろと話をしているうちに、あたしはこの時から彼に惹かれていたんだと思う。
彼は常連さんやどこかの中学生が好むような下ネタやえっちな話なんて一切しなかった。
ただ、他愛のない会話をあたしと二人話していた。
どうしてか、あたしは彼とまた話すことを求めるようなった。
あたしがチャットルームで一人でいると、必ず彼は来てくれた。
『諒くん、どうしていつも来てくれるの?』
いつだったか、そんな質問をした時があった。
『別に。暇だし、俺の勝手だ』
なんて、素っ気ない返事を返して来ても、あたしは優しさが含まれていると感じた。
いつも貴方に会いたくて、ここに来てしまうの。
そう言えずに、あたしはチャットの中の彼と話をした。