執事と共に賭け事を。
「……ヒガキの息子、あいつは養子で長男になってやがる」

「養子、」

「肉親は、昔に消されてる」

「消されている?」

「ああ、本来なら一家全員が消されているはずだった」


物々しい言葉に、春樹の眉間のしわが深くなる。


「そこに、どうもうちの組が一枚噛んでたらしい」

「……つまり、うちに恨みのある人物、と言うことでしょうか」

「ああ。消されたはずの息子は、どういうわけかヒガキの家に入ってやがったんだ。ヒガキという名前じゃ気付かなかったがな、身元調べさせてようやくでてきやがった」

「うまく隠していた、ということですか」

「そういうことだな」

「彼が、不穏な要因、と言うことですね」


祖父は、やれやれ、という体で頷いた。

恵理夜の家に恨みを持つ人物、そして消えた恵理夜。

とても嫌な予感のする点が、結びついてしまった。
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