執事と共に賭け事を。
「どちらにせよ、その指輪は恵理夜、お前に預けておく。くれぐれも失くさんでくれ」

「はい、わかりました」

「それから、しばし、春樹を借りるぞ」

「はい」

「よかったら恵理夜、お前も楽しんでくれ」


恵理夜は、かろうじて人差し指にはまった指輪を抑えながら苦笑した。


「私でも、楽しめますか」

「この船は、あらゆる年齢の人間を対象としている。お前にはそのモニターの意味を含めて呼んだんじゃ」

「もう、やっぱりお仕事の都合なのね」

「すまねぇな」


口を尖らす恵理夜に祖父も困ったように謝るしかなかった。
< 36 / 254 >

この作品をシェア

pagetop