執事と共に賭け事を。

そんな祖父の様子に恵理夜は噴出した。


「ごめんなさい、困らせるつもりじゃなかったの」

「いや、本当にすまねぇ。恵理夜、春樹の代わりに他の奴をつけるか」

「いえ、大丈夫です」

「私も、出来る限りお嬢様のそばに」

「それがいいな。下手に恵理夜が怪しまれても困る」

「春樹のおかげで十分怪しまれているかもしれないですけどね」

「お前たちなら心配してねぇ」


と、快活に笑った。


「それじゃ、ワシらは先に行っとるぞ」


と、祖父は控えていた世話係を連れて部屋を出て行った。


「では、私たちも行きましょうか」

「ええ」


恵理夜は、カジノという場所に、期待と不安を抱きながら春樹と共に歩き出した。