執事と共に賭け事を。
「だけど、恵理夜クン。さっきまでは羨ましいと思ったけれど、嘘をつかない人間なんて居ないよね」


話を変えるような明るい声。


「それが解ってしまうのは辛くはないかい」


確かに、そんな場面にはたくさん出会ってきた。


「でも、辛いと思ったことは……」

「羨ましいよ」


その声は、冷たかった。

羨望を超えた痛烈な嫉妬を感じた。


「さ、ゲームを始めようか」


再び笑顔になったその手から、すべらかにカードが配られた。
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