執事と共に賭け事を。
謙遜ではなく、恵理夜は本気で戸惑っていた。

かろうじて、ヒガキの手元にあるジョーカーを見抜き続けるが、時に外れることがあった。

恵理夜が、ジョーカーを引いてしまうのだ。

それでも、最終的にゲームには勝利していた。

けれど、ヒガキがわざと勝ちを譲ってやっている、というような意図を感じた。

そうしているうちに、恵理夜は3勝目を迎えていた。


「悔しいなぁ」


子供のように呟くヒガキ。

ディーラーの顔ではないあまりの無邪気さに、恵理夜は思わずくすりと笑ってしまった。
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