執事と共に賭け事を。
「春樹……」


恵理夜は、安堵の声を漏らしていた。


「……お疲れのようですね。失礼」


春樹は、恵理夜を抱え上げようと腕を回した。


「ちょっと、春樹っ」

「大丈夫です。今、この廊下には私達以外は誰もいません」


恵理夜の意図など全てお見通しの春樹に、恵理夜は苦笑するように身を任せた。


「大丈夫、かい……?」


心配そうにヒガキが覗き込んでくる。


「ごめんなさい。船酔いと、疲れが出たみたいで……」


春樹の腕の中で、心底申し訳無さそうに恵理夜は謝った。
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