執事と共に賭け事を。
「105号室は、103号室の隣だね」

「103号室の隣?」

「ほら、日本人にとって4って言う数字は死を連想させるだろう。だから、ホテルの部屋なんかでも避けられる場合が多い」

「だから、103号室の隣は105号室なのね」

「その通り。海外じゃ、6って言う数字を避けるところもあるみたいだしね。一種の験担ぎみたいなものかな」


ヒガキが、個室が並ぶ廊下の扉を開く。


「すっかり夕刻だね」


個室の並ぶ扉の正面には、大きな窓が連なっていた。

そこから、偉大な海と夕日が望めた。


「綺麗……」


恵理夜は思わず呟く。

が、すぐに船酔いがぶり返したのだろうか、顔を伏せて口元を押さえた。


「大丈夫ですか?」


春樹の声に、恵理夜はただ黙って頷いた。
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