執事と共に賭け事を。
「101、102、103……この部屋だね」


103号室の隣の扉に鍵を差し込んだ。

そして、ヒガキが扉を開く。

中は、こじんまりとした、けれど設備の充実した個室空間が広がっていた。

しかし、恵理夜はもはや顔を上げる余裕もないようだ。

春樹は、扉を押さえるヒガキのそばを通り抜け、そっと顔を伏せたままの恵理夜をベッドに下ろした。


「お気遣い、ありがとうございました」


春樹は、ヒガキに頭を下げた。


「いやいや当然のことだよ。はい、これが鍵だ。部屋はオートロックだから気をつけて」

「かしこまりました」
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