執事と共に賭け事を。
先ほどとは逆のラウンジのほうだった。

ラウンジに居る恵理夜の祖父に一言伝え、そのまま荷物のあるスイートルームへ行くつもりだった。


案内をしてくれたヒガキに感謝した。

むやみに歩いては、あっという間にこの広い船内で迷うだろう。

しかし、どうもヒガキという人物は引っかかるものを感じた。


――春樹……


恵理夜の声を聞いた気がした。

春樹は、廊下から出るために開こうとした扉から手を離した。


やはり、恵理夜のそばに居るべきだ――そう考え来た一本道の廊下を引き返した。
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