彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
引きずるように、やっとの思いで教室の近くまで来ると、本を読んでいるんだろうか?
斗真くんの伏し目がちな綺麗な横顔が窓から覗く
思えば…
好きな人がいるとか、いないとか
そんな話しは一度もしていないのだ
だから、いたとしても不思議ではないのかも知れない
実際に私はフラれた訳だし
特定の女の子と付き合ったりしてないこと、不特定多数の女の子と関係を持つこと
それが好きな人がいないということとは、まったく別の話しなんだと今さらながらに気づく
「おい?」
ビクッ━……!
斗真くんに窓から声を掛けられて教室の前で足を止めていたことに気づいて顔をあげる
「どうした?顔色悪いぞ?」
「え…ああ…ううん…」
私はそう言って笑顔を繕いながら教室に入っていく