彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
「あたし、今から委員会あるから」
「あ、そっか」
「菜々…あんまり思い詰めないでね」
そう言って優ちゃんは私の背中をポンポンっと叩くと踵を返して歩いていく
私は優ちゃんの背中を見つめながら、ありがとうの気持ちを込めて手を振っていた
優ちゃん
本当にやさしい優ちゃん
優ちゃんなら斗真くんの相手でも構わないかな
これ以上、最高の相手もいないよね
私はいつまでもボーッと突っ立ったまま、優ちゃんが見えなくなるまで手を振り続けていた
すると振っていた手首を強く捕まれて後ろに引っ張られる
「わっ…!」
その拍子に私自身もよろけて後ろにひっくり返りそうになる
こける!?
でも誰かの体にぶつかって抱き止められたお陰で、ひっくり返らずに済んだ
「はぁ〜…」
私はそのぶつかった相手を見上げて固まる
「何、俺のこと避けてんの?」
いや、手首を掴んでいるのも彼だ