彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
私は斗真くんから向けられる視線から逃れるように、顔を背ける
「……お前…」
すると斗真くんは私を掴んでいた手を離すと
「どうしたのこれ…」
今度は私の首元に触れた
━━━━━━!?
私は咄嗟に斗真くんの手を払い除けて、自分の首を隠す
やだやだ
どうしよう
見られた?
暴れた拍子に首の絆創膏が剥がれかけていたようで、それを手で押さえつける
「なんでもない!」
「…それって…」
斗真くんが冷たい視線を再び私には向ける
「あの…蚊に刺されただけで…」
我ながら下手な嘘
声が震える
でもこんなことは知られたくない
たとえ私のことを何とも思ってなくても
知られるのは怖い
「ふーん…」
斗真くんは少し俯きながら笑うと
「えらくデカイ虫に刺されたみたいだな」