彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
そう言った優ちゃんの強い瞳が滲む
そうだ
平気なわけない
好きな人が、自分以外の人を好きなのに
黙って幸せを願えるのは強いからじゃない
優しいからじゃない
ただ好きな人が幸せになってほしい
そんなどうしようもなくシンプルな
飾りっ気のない純粋な願い
私が浬世也にしてあげられるのは一緒に寄り添うことじゃない
私の気持ちが向かう方向も、私が思う人も
別にいるのだから
浬世也には私が必要なんて思い上がりもいいところだ
私が今、立ち上がるのに浬世也を必要としていただけ
私はその事に気づいて優ちゃんに向かって小さく頷いて見せた