彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
斗真くんが教室に姿を表したのは、3時間目が始まって間もなくしてからだった
斗真くんが教室に足を踏み入れた途端、教室中がザワつく
「工藤…お前、どうしたんだその顔は」
先生は驚いて斗真くんに質問したけれど、相変わらず斗真くんは我関せず
「別に」
「おい…」
さっさと席に座る斗真くんに先生は眉間にシワを寄せ
クラスの人達は興味津々でチラチラと見ていた
そして何事もなかったように授業が再開される
私も斗真くんの横顔をチラリと盗み見る
斗真くんの口元に殴られたような傷
服装も斗真くんらしくなく少し乱れていて、ネクタイは外されていた
私の背中をツンツンとつついて優ちゃんが小声で話しかけてくる
「どうしたんだろうね」
私はその言葉に頭を少し傾けて答えると、また斗真くんの顔を教科書の隙間からこっそり見つめるのだった