彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜



授業が終わってお昼休みに入るとすぐに、斗真くんは自分の席から立ち上がり何処かへ歩き出した



多分、裏庭に行くのかもしれない



私はそんな斗真くんの背中に声を掛けていた



「斗真くん!」



ゆっくりと私の方を振り返る斗真くん



返事をする代わりに私に冷たい目を向けていた



その目は、昨日はずっと避けていたクセに今日は話しかけてくるのか?勝手なやつっと言われているようですごく居心地が悪い



「あの…これ…」



私は勇気を振り絞って再び口を開くと、持っていた絆創膏を差し出し


そしてもう一方の手で、斗真くんの手の甲を指差す



「血が出てる」



斗真くんは自分の手を持ち上げて一瞥した後、いらねーっと言って再び歩き出した



「斗真くん…」


「お前の首にでも貼っとけ」



そう言って斗真くんは振り向きもせずに廊下の角に消えて行った



やっぱりダメだ


完全に嫌われた


好かれてもないのに嫌われたって最悪


私は絆創膏を手のひらで握り潰していた




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