彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
咄嗟に突き出した手はやっぱり地面に付いていなくて、変わりに胸の当たりが苦しい
「あぶね…」
その声に私は顔を持ち上げた
「斗真くん…」
斗真くんは私の襟首を掴んで持ち上げながら、うんざりした顔をしている
斗真くん、これ…
あの時と全く同じだよ
覚えてる?
「お前…転けすぎ…」
え!?
私はその言葉を聞いて斗真くんの顔を再び見ると、こちらを見ていた斗真くんと視線が絡まった
ドキンッッ━━━……‥
その瞬間、斗真くんはあの時とまったく同じやさしい笑顔でフッと笑てくれて
私はその顔を見て涙で瞳を潤ませていた
「斗真くん…覚えてるの?」
「何が?」
「これと同じこと前にもあったの」
「ああ…」
そう言って斗真くんは私の襟首を離してしっかり立たせてくれた
「覚えてるっていうか…今思い出した」
「今?」
そう言うと斗真くんはジッと見つめる私の顔を指差すと
何かを思い出したながら、もう一方の手で口を押さえて笑い出す