彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜




あの3月の寒い冬の日



最高に寒かったあの日は



次の日には嘘みたいに、私の気持ちを反映させたように暖かくなっていて



真っ赤なマフラーをそっとタンスの中にしまったんだ





「お前が盗ってたのか」


「盗ったって人聞き悪いな!」



私は願掛けして作った小さな巾着袋の中に、今度こそ斗真くんの校章を入れる



「あ、それ」


「ふふ」



一応願いが叶いました


ありがとうお守りさん


そう感謝の気持ちを込めてお守り袋を挟んで拝み出す


「気持ち悪い…」


「は?」



斗真くんを見ると、意地悪そうな笑顔を私に向けて笑ってる



私もそれを見ながらやっぱり笑いかけていて




「完全に遅刻」






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