彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
私は俯いていた顔を斗真くんに向かって上げる
今…なんて?
「え…いいじゃん?」
「ダメ…こいつと話してる」
斗真くんはそう言うと私の方に向き直る
うれしい…
斗真くんどうしたの?
メチャクチャうれしい!
今なら垂直跳びの世界記録出ちゃうぐらいうれしい!
けど…
怖い…
深雪ちゃんの私を見る目がめちゃくちゃ怖いんですけど!
「あ!あたし、用事があったので!行きますね!」
私はその雰囲気に耐えきれなくなり
なぜか敬語で思いっきり立ち上がると、巾着を持ってその場から逃走を図った
「おい…倉田?」
斗真くんの私を呼ぶ声が聞こえる
本当は行きたくない
斗真くんと深雪ちゃんを2人にしたくない
でも私は、計算なしに私にやさしくしてくれる斗真くんのことを
やっぱりドンドン好きになっちゃって
このままじゃ友達の枠から外れてしまうよ
報われないのに気持ちだけ大きくなっていくなんてあんまりだ