彼を捕まえろ!〜俺様男はハート泥棒〜
「イチャイチャするなら目立たないとこでしたら?」
斗真くんはため息をつきながら、呆れたような声を出して私たちの前を素通りしていく
まるで興味なんてありません
そんな拒絶の表情…
深雪ちゃんはそんな斗真くんの態度にすごく嬉しそうにして付いていく
「斗真くん…」
私は斗真くんを追いかけようとしたけれど、浬世也に腕を捕まれたまま動けない
「浬世也、なんで!?」
そう言って浬世也の方に顔を上げると、浬世也はハッとして私を掴んでいた手を離す
そしてまた悲しそうな表情をして
「ごめ…」
そんな悲しそうな表情で謝られたら、これ以上何も言えなくなるよ
「いや…あたしもゴメン…なんか押し付けちゃって…」
浬世也にも私がわからないタイミングとか悩みがあるのかもしれない…
私に言えない悩みが…
それがやっぱり本当の姉弟になれていないようでなんだか悲しい
キーンコーンカーンコーン━━……
予鈴が鳴って私は気まずい気持ちでその場を後にした