DIA-ダイヤ-
それから私は少しずつ心の中の整理を始めた。


時には不安や孤独で涙したり時には結局変われないと落ち込んだりしながら、少しずつ、少しずつ。


そんな中、ほとんど面会に来なかった母が不意に訪れる。


私がリストカットを繰り返して入院する頃、母はいつも険しい顔で私を見ていた。


怒りのこもったあの瞳を思い出す。


「どうしたの?」


「あ、うん。ちょっと浅野先生に呼ばれてね」


「ふーん」


(用事がなきゃわざわざ来ないか)


何気なく母の顔を見ているとフンワリと不思議な感覚が訪れた。


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