DIA-ダイヤ-
歩き出して間もなく、一軒の居酒屋風の店の前で悠斗は立ち止まった。


「ここでいい?」


「うん、いーよ」


薄暗い照明と雰囲気のいい数種類のボックス席に、低く流れる音楽が素敵な店だった。


「いらっしゃいませ。お二人様でしょうか?」


黒い制服の男の人がスッと出て来る。


「はい」


悠斗が答える。


「こちらへどうぞ」


通された席は、テーブルの上に小さなランプがある少し広めのボックス席。


高めの仕切りが二人だけの世界を作り出している。


(ほとんど密室だよね。あー、緊張が取れないっ)


< 27 / 206 >

この作品をシェア

pagetop