DIA-ダイヤ-
もう昨日までの怒りはなく、心の中は真っ黒く塗り潰されたような感覚に変わっていた。


「どこにも行きたくない。…でも、行かなきゃ」


前に何回か診察をサボった時に先生から入院させると脅されていて、仕方なくもたもたと用意を始める。


「悠斗はもう仕事だよね。私のこと、どうでもいいんだよね」


クローゼットの一番手前にかかっている服をそのまま着て、私は重たい体を引きずるように家を出た。


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