DIA-ダイヤ-
「あれ?なにかありましたか?」


突然泣き出した私に対して先生の態度はいつもと変わらない。


「…先生、ごめん。今日あんまり話したくない」


私は昔からなかなか人に本音を言えない。


本当の自分をさらけ出しても嫌われるだけだとずっと思ってきたから。


そんな時、先生は私が話したくなるまでそっとしておいてくれる。


「そうですか。私もたまに泣きたくなるようなことありますよ」


ニコッと笑って続ける。


「こういう診察中にトイレに行きたくなって我慢の限界を超えた時とか、診察が終わって鏡を見たら鼻毛が一本出ていた時とか、今考えても恥ずかしくて泣きそうです」


先生が真顔で言う。


「それ、恥ずかしいね…」


下を向いて涙を流しているのに、私の口元は勝手に笑った。


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