千年真祖は嘲笑う
しかし、修道女が再び周囲の無機物を分解し、再構築する前に。

「フン」

俺は馬上から右手を掲げた。

その右手…肘から先が黒い霧と化し、イリイア目掛けて襲い掛かる!

…まだ夜も明けきらぬ時間だが、よく目を凝らせばわかったに違いない。

それは黒い霧ではなく、無数の小さな蝙蝠の群れ。

しかも鋭い牙持ちて皮膚を食い破り、血を啜る吸血蝙蝠の群れだ。

俺は高い魔力により、その身を蝙蝠の群れに変じる事ができる。

それを利用すれば攻撃を回避し、遠い間合いにも自在に攻撃を仕掛ける事ができる。

俺の意思を持った黒き吸血鬼の集団は。

「くっ!」

イリイアの身に食いかかり、腕に食らいつく事で精製ノ書を手放させた。

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