千年真祖は嘲笑う
その娘は突然目の前に現れた。

黒き修道服を身に纏った修道女。

わかりよく言えばシスターか。

薄明るくなってきたこの漆黒の森の中にあって、そのシスターの姿は際立って見えた。

…この森は俺の縄張りだ。

知らずに迷い込んだ者は方向感覚を失って延々さ迷った挙句に衰弱するか獣に襲われるかして命を失い、知っていながら入って来た者もまた、その不遜を後悔しながら死ぬ事になる。

この場違いな修道女がどちらなのかは知らないが、この場で俺に出くわした以上、最早生きて出られない事は決定的だった。

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