千年真祖は嘲笑う
そこまで俺の事を知っていながら、まさか森の中で迷ったから宿をとらせて欲しい…などとは言うまい。

「修道女、お前は祓魔師(エクソシスト)の類か?」

元より闇の眷属と教会が敵対関係にある事は子供でも知っている。

この深く昼尚暗く昏い樹海に、修道女が足を踏み入れた時点で、目的は化け物退治と相場が決まっている。

そしてこの樹海を縄張りとしているのは、千年真祖の来栖 恭太郎しかいない。

少し裏の世界に精通する者ならば、すぐに理解できる事だった。

「申し遅れました」

修道女は恭しく頭を垂れる。

「ヴァチカンより遣わされて参りました、洗礼施行者(バプティスタ)のイリイア・アンナと申します」

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