千年真祖は嘲笑う
ヴァチカンの写本?

それにしても、いつの間に。

訝しげに睨む俺の目の前で。

「安心なさい、我らが主は、貴方のように闇に生まれ、闇に生き、数多の命を闇に引きずり込んだ者にも慈悲深い」

イリイアがそう言った途端。

「!!」

彼女の周囲に生い茂っていた樹木が、突然見えぬ力によって引き抜かれ、枝という枝を削ぎ落とされ、先端を鋭利に研ぎ澄まされ、瞬く間に無数の巨大な杭となる!

「心臓を杭で串刺し…いささか平凡ではありますが…」

巨大な杭の全てが、俺に尖端を向ける。

「貴方に神の御加護がありますように」

よく通るイリイアの声と共に、その杭は放たれた!

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