月ヲも止める鼓動
 そう、器を壊してもよろしいでしょうか?
今、壊しておかないと後悔しますから。

 これ以上綺麗になる必要性は無かったんだ。
僕は、砂浜を飛び出し、
それは彼女もだけど、着替えも無いのに暗い海に入り込んだ。
彼女が、その地球を覆う一部でも支配している海だ。
それは真実の答えの様に、

 冷たい……。季節は春でももうハッキリと、月が出ているんだから。

 平然と浮かぶ彼女は、やっぱりもう人では無いのかもしれない。
なるほど、引き上げても着替えは要らないね。

 僕はどうだろうか?強盗に銃を向けられているぐらい、震えてるかもしれない。そのせいで、あまりの恐怖に風邪をひくかもしれない、君と引き換えに。でも、それで何かが変わるなら風邪とだって、仲良く暮らしてやる。
震える歯を食い縛り、邪魔な海水どもを悪びれる事無く、叩き割り、裂き切り、
僕は、ここ一帯を支配する彼女へと向かった。
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