淡雪恋話
慌しい街は、色とりどりのイルミネーションに飾られている。シャン、シャンと小気味良く音が鳴る。
足早に歩く人々は、それぞれのクリスマス・イヴを、幸せそうに楽しんでいた。
そんな中で、五月ちゃんは一人全ての絶望を背負いながらも、一縷の願いを叶える為だけに、一歩、一歩、歩いていた。
五月ちゃんの額には玉の汗が光っていた。
でも、私には手を貸す事は出来ない。これは彼女が自分で望んだ道。手を貸せば、多分全ては終わってしまう。
雪は降る。
周囲を真っ白に染めていく。
それはまるで五月ちゃんの絶望を示しているかのようだった。
私は全てを絶望の白に染めていく雪に、「お願い、もうやめて」と祈った。