淡雪恋話
私が彼と彼女に知り合ったのは、この高校に入ってからだった。
元々人付き合いの苦手な私は、もっぱら休み時間や昼休みは、本を読んで過ごしていた。
そんな私に、二人はどうして興味を持ったのか、それは今となっては分からないのだけれど。
その日も教室で一人寂しく、私はお弁当を食べようとしていた。
そんな冬休み前の一日に、私に二人は声を掛けてくれた。
「みいちゃん、一緒にご飯食べない?」
「みい」とは私の名前。漢字では「美唯」と書く。でもみんな私に対して、硬い漢字読みでは呼ばなかった。みんな「みい」と平仮名読みで呼んだ。
まあ、私としても「みい」、と平仮名読みで呼んでもらえた方が嬉しい。
だって、平仮名で「みい」って書いたら可愛いから。
視線を向けると、そこには栗色の綺麗な髪を後ろで結んでいる、線の細い女の子と、身長が百八十センチは超えるであろう男の子が笑っていた。